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2021年2月の記録


そこんとこグレイトで曲を作りました。今年は毎月曲を作るのを目標にしてまして、2月分です。

 

去年の私の隠れテーマが「越境」でした。もともとぼんやり考えていたことがあって蓮實重彦のブニュエルの章で「越境」を取り上げてて、あ、これだーと思ったのが2020年1月。そしたらコロナでどこにもいけなくなって、うわーとなって、wired秋の特集が「越境」。別に土地とか物理的な越境に拘ってはいなかったのだけど、やっぱ国境は超えたかった。それでGoogle マップのストリートビューにいまさらハマっていた。でも飽きた。やっぱ身体動かさなきゃ。今年はどうかな。 

 

相変わらず本を読む生活。読んだ本とかを紹介するのどうなんだろと思いつつ、今年はそれをやろうと決めたのでやります。


 

 
①韓国 古い町の路地を歩く/ハン・ピルォン(萩原 恵美 訳)

面白い、かなりオススメ。
韓国語を勉強してみたものの使い道なく、周りの人みたいにドラマ興味ないし、期待してたほど映画もハマらない。
最終的に自分は「韓国近代史」「食べ物」「街並み」が興味あることに気づき、この本を手に取った。

この本は韓国の歴史都市9つを、一日で歩ける範囲に絞って、取り上げてる。これかなり肝。 少し引用します。


韓国の歴史都市では町を横切る広くてまっすぐな大通りのすぐ裏にある路地を歩いてみることをお勧めしたい。

(中略)ー わずか数歩の差だが、草汀金相沃通りからは大通りでは感じられない情感が伝わってくる。

 

大通りでは感じられない情感の理由について、大通りである町の中央路を例えに下記のように続きます。

 

何よりも道のできたプロセスにその答えを見出せるはずだ。中央路は、等高線に沿って現れる自然の流れとそれに順応して長い年月にわたって形作られてきた町のあり方を無視し、できるだけ広くまっすぐ最短距離で作られた近代の理性の産物だ。その道は人間の理性には破壊的で暴力的な一面のあることを示している。そうした道は町の過去を知らない。ゆえに町の昔話に耳を傾け、過去と現在の違いに関心を寄せる人々に、その道はいかなる物語をも聞かせてはくれない。

 

「道が町の過去を知る」ことについて。

 

だが港町1番街は、海と陸地との出会い方や地形の変化を見つめつつ生まれた感性の道だ。その道には海岸に沿って歩いていた無数の人々の痕跡が積み重なっている。その道を歩くことは、歩行の痕跡を重ねることによって町を作り上げていく不断のプロセスにみずからかかわることだ。

 

実際、韓国の古地図をみると、高低差の中に町が形成されてる。
等高線と貿易河川に合わせながら、人の歩きやすいようにウネった道が生まれる。道と道の間には小路が生まれて、人の集まる場所が生まれて、市場が生まれる。ただ通り抜けるだけの自動車道路にはない魅力。そんな道に生まれる韓国の古い家屋なんかも魅力的で、坂道の途中にある家は、一階と二階で別々の出入り口をつくってる。表の坂道は1階から、裏の坂道は2階から。または隣家との共同スペースに共有の階段を建ててたり。
韓国の地方都市は意外とgoogleストリートビューが少ない。後で知ったけど、韓国主流のカカオマップが結構ストリートビュー充実。

 

あとはこの最高なサイト。
「韓国古建築散歩」 http://liumeiuru.hacca.jp/

こういう天才的に面白い人、憧れる。有名になって欲しい。沼のように抜け出せなくなる。

 

 


②月山・鳥海山/森 敦
何年か前に一人旅で山形県に行って、羽黒山を登った。

韓国の本を読んだら、急にその山形県の旅を思い出して月山を読むことに。

「意味の変容」「われ逝く〜」「小島信夫との対談」とか全部面白かったけど、当たり前のようにコレも面白かった。

 

 

『初真桑』
こうして死んだ人が、われわれに立ち混じってくるために、さも時間の中にいるように、懐中時計を持って来るということもあり得ぬことではない。

なぜなら、わたしたちもこうして生きていると思っているが、どうしてそれを知ることができるのか。

それを知るには死によるほかはないのだが、生きているかぎり死を知ることはできないのだ。

かくて、わたしたちはもどき、だましの死との取引において、もどき、だましの生を得ようとし、死もまたもどき、だましの死を得ようとして、

もどき、だましの生との取引をしようとするのである。

 

 

こんだけ引用するのは野暮と知りつつ、ここだけ読んでもよくわからないし、いいか。


③銃・病原菌・鉄 (上下)/ジャレド・ダイヤモンド

なんで今更と言う感じだが、今更でもいいよな、面白いから。オモシレー。オモシレー。もう古くなってる資料もあるんだろうな、と少し感じつつ。

「環境決定論」とまで行かなくとも、「選択肢」に対する環境の影響度がいかに大きいかを蕩々と説く。

個人的には大陸の広がる向きと技術の広がり方の対比が面白かったな。そういうこと大学で勉強したはずなのにな。


日本語にとって漢字が非効率なのに慣習でやめられないみたいなこと書いてあって、「平仮名だけの方が非効率」って、アルファベット常用者にどう伝えたらいいんだろうか。しかも漢字を常用漢字に絞っていることも結構肝心なんだよな。読みが複数あるのは、めんどくさいけど。
韓国語勉強してても、漢字の音読みできた方がわかりやすいのに伝わらないんだな。韓国語は漢字を廃止してしまって困ってないんかな。



④ 泰平ヨンの未来学会議/ スタニスワフ・レム

アリ・フォルマンのコングレス未来学会議が好きでやっと読んだ。

昔のヨンシリーズも読みたいけど、中古高いな。翻訳家すごいな、本当に。

めちゃくちゃアホな単語だけがクリティカルヒットをかまし続ける。

 

 


今月は映画少なめ。観た順。

  1. ゴジラ(1984)
  2. 気狂いピエロ
  3. イナゴの日
  4. ファントマ/危機脱出
  5. リオの若大将 ・・・ エレキの若大将しか見たことない人にオススメ。
  6. MR.BOO インベーダー作戦
  7. 南太平洋の若大将
  8. ドッグ
  9. シルバー假面
  10. ジャングルブック
  11. ミッションインポッシブル2

 

 

音楽は何年ぶりかにThe Raincoatsのセルフタイトルを頭おかしくなるほど聴いてます。去年、god bless the red krayolaを頭狂うほど聴いてたので、めちゃ泣いてます。

 他人のZINEを見ていたら、ZINE作りたくなってきた。コメントやらなんやらお待ちしています。オンライン飲み会も行きます、無口だけど。